世界に目を向けると、OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、欧州・米国・豪州をはじめとする200を超える組織・機関が、行動インサイトを政策や制度設計に活用しています。これは、より多くの人が自発的に、そして継続的に望ましい行動を選び取れるようにするための知見として、グローバルに広がりを見せていることを意味します。
日本でも、この潮流を捉える形で、2017年4月に環境省のイニシアチブにより「日本版ナッジ・ユニット(BEST)」が発足。以来、約7年にわたり、ナッジの国内展開を先導する役割を果たしてきました。近年では、地方自治体や非政府組織(NGO/NPO)など、多様な主体がナッジの導入や実証に取り組むようになり、活動の広がりを見せています。
今後求められるのは、こうした多様なステークホルダーが垣根を越えてつながり合い、知見と経験をオープンに共有しながら、行動インサイトを活かしたアクションを共創していくための「エコシステムづくり」です。その際には、適切なガバナンスと透明性を確保した上で、持続可能かつ包摂的な連携のあり方を模索していくことが重要です。
このようなオープンイノベーションのエコシステムでは、専門性の異なる組織が対等に対話し、時に共同で実証実験を行うなど、実践的な学び合いと協働が起点となります。以下の図は、そうしたエコシステム形成のイメージを示したものです。
