持続可能な社会の実現に向けて、地域が果たす役割はますます重要になっています。第六次環境基本計画では、地域の自立と分散型社会を目指し、自然資本を活用した地域循環共生圏の創造が強調されています。今回は、その地域エンパワーメントの具体的な取り組みと、その実現に向けた課題を探っていきましょう。
1. 自立・分散型社会の実現に向けた地域の役割
地域循環共生圏の創造
第六次環境基本計画では、地域が主体となって持続可能な地域づくりを進めることが求められています。これは、地域の自然資本を最大限に活用し、地域内で資源を循環させる「地域循環共生圏」の創造を目指すものです。各地域が持つ独自の文化、自然、産業を生かし、持続可能な発展を追求することが、自立・分散型社会の実現に繋がります。
2. 地域づくりを担う人材の育成
人材育成と地域づくりの両輪
地域のエンパワーメントには、地域づくりを担う人材の育成が不可欠です。地域内でリーダーシップを発揮できる人材を育てることで、他の地域とネットワークを構築し、互いに支え合う「地域プラットフォーム」が形成されます。このため、地域で活動する主体を支援する中間組織の構築や、様々な地域間の連携促進が進められています。
3. 人と自然のつながりの再構築
自然と共生する文化の復興
日本の文化は、自然との共生を基調として発展してきましたが、急速な都市化や海外資源への依存、人口減少により、自然と人とのつながりが希薄化しています。地域循環共生圏の推進により、地域の自然と文化の価値を再認識し、人と自然のつながりを再構築することが重要です。これにより、地域社会の活性化、人間性の回復、健康増進、子どもの健全な発育が期待されています。
4. 行動インサイトの活用
行動科学を活用した地域づくり
地域エンパワーメントにおいて、行動インサイト(ナッジ)の活用も期待されています。人々の行動を促進するための科学的手法を地域の取り組みに取り入れることで、持続可能な行動が地域全体で広がり、効果的な地域づくりが進展します。
地域脱炭素の実現に向けて
気候変動への対策として、地域脱炭素の取り組みは極めて重要です。政府の「地球温暖化対策計画」でも、地域の強みを活かした成長戦略として位置づけられています。次に、地域脱炭素の実現に向けた取り組みについて見ていきます。
1. 地域の成長戦略としての脱炭素化
地域の課題解決と脱炭素化の推進
地域脱炭素は、地域の課題解決や魅力向上に貢献する大きなチャンスです。第六次環境基本計画では、既存の技術を活用して地域住民一人一人が主体的に脱炭素に取り組める可能性が強調されています。地域金融機関や企業、地方公共団体と連携し、地域の特性を活かした構造転換や脱炭素製品の需要創出を推進することが、地域脱炭素の鍵となります。
まとめ
地域のエンパワーメントと脱炭素の実現は、持続可能な社会の基盤を築く重要な要素です。地域が自らの強みを最大限に活用し、持続可能な発展を目指す取り組みを推進することで、地域循環共生圏の創造や脱炭素社会の実現が可能になります。