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「オーガニック・有機」表記による

環境訴求の課題

近年、グリーンウォッシュに関する議論の中で、「オーガニック・有機」表記による商品訴求の問題点が指摘されています。オーガニックや有機と謳われる商品が、必ずしも環境負荷が低いとは限らず、場合によっては通常の商品よりもCO2排出量が多いことを示す研究結果も発表されています。こうした背景から、「オーガニック=環境に優しい」という固定観念が定着してしまうことへの懸念が広がっています。

オーガニック・有機商品の表示と倫理的課題
オーガニック・有機商品の消費者への訴求や表示については、スラッジ(消費者にとって不利益となる行動誘導)を回避し、アカウンタビリティ(説明責任)や倫理的観点を担保することが重要です。また、オーガニックに限らず、CO2削減効果があっても社会・環境負荷の高い商品・サービスが存在することを踏まえ、単一の指標のみで評価するのではなく、包括的な評価軸に基づいた商品設計と消費者への適切な情報提供が求められます。

有機農産物と持続可能な農業

化学農薬や化学肥料の使用を低減する有機農業は、農業が活用する土地や水、生物資源などの「自然資本」の持続可能性を高める手法の一つとされています。農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」では、「2050年までに耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大する」 という目標が掲げられています。

また、消費者が有機農産物を選択することで市場の需要が生まれ、有機農業の拡大につながるとされています。これにより、自然資本の保全と持続可能な農業の発展を促進するという好循環を生み出すことが期待されています。そのため、「有機JASマーク」 などの認証制度を活用し、国民が正しい選択をできる環境を整備する取り組みが進められています。

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出典:環境省webサイト

「オーガニック」表記の課題と今後の対応
一方で、「オーガニック製品=脱炭素に貢献する」「オーガニック製品=環境負荷が低い」といった認識が、必ずしも正しいとは限りません。また、「オーガニック(有機)」や「自然食品」といった表記の定義が曖昧であることが、消費者の誤解を招く可能性も指摘されています。

こうした背景を踏まえ、「オーガニック」表記をナッジの手法に活用する際には、スラッジ(消費者にとって不利益な選択誘導)を回避し、適切な情報提供を行うことが不可欠です。消費者が正しい情報をもとに選択できる環境を整えるため、今後も慎重な議論と対応が求められます。

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農業変革の3要素(事務局作成)