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New Normal とは何か?

パリ市長が掲げる「15分都市」構想

· 行動インサイトの活用

The Guradian紙の報道によれば、パリ市長Anne Hidalgoの再選にむけた公約の柱にe “ville du quart d’heure” “15-minute city”構想を掲げているとのことだ。

COVID-19ショックの後、鉄道やバスなどの公共交通機関は感染リスク要因とみなされることがあり、自家用車利用が増加していると主張する向きもある。(そのことはなるべく早くファクトとして確認すべきである。)これを回避するために一層のこと移動する必要がない社会を作ってしまおうということだ。

 

日本でいうところの地域循環共生圏。あるいは地産地消社会の実現といったところだろうか。

 

仕事も遊びもすべての生活も自転車と徒歩で15分以内に収めてしまう。雑貨店・公園・カフェ・スポーツ施設・医療機関・学校もだ。

The living smart city is more dense but people friendly, Moreno says, painting the picture of an urban utopia where people know each other and “say bonjour” rather than rushing from one place to another in “a permanent state of anxiety”. The approach is based on four major principles: proximity, diversity, density and ubiquity, and individual areas within the city should be able to fulfil six social functions: living, working, supplying, caring, learning and enjoying.

欧州においても通勤ラッシュは存在する。そして、所得が比較的低い層が公共機関を利用せざるを得ず、それ故に感染のリスクが高まっていることを指摘している。

ホワイトカラーなどの特定の職種はテレワークにより移動時の感染リスクを抑えることが比較的容易だが、エッセンシャルワーカーと呼ばれる人々は現場にいて作業をせねばならないことが多い。こうした人々は往々にして居住地から勤務地までの移動距離が長くなり、バスや地下鉄などの利用頻度が高まる。

これを回避するために、こうした仕事場と家の総距離を街全体で緊縮するというのは壮大な取り組みであり、そこには人々のライフスタイルのパラダイムを大きく転換する、根本的な行動変容が必要になる。もちろん交通由来のエネルギーによる二酸化炭素排出量は確実に低減する。

もともと、都市というのは密度が高く効率的な公共交通機関を前提として、人々が移動の自由と職業選択の自由によって最適な仕事を、それが通勤時間の長短とのトレードオフとして選んできた。確かに、近所で仕事を見つけることができ、あるいは仕事が近所に分散されてくるのであれば、その必要性は薄れるが現実的には厳しい。

それは教育のおいても同様だ。あるいは地域により富裕層と貧困層が分断されてしまうリスクもある。

欧州では自転車通勤やそれ故に自転車専用道が整備され、公共交通に自転車を乗せることも日常となっている。また、日本やアジアの都市ほど一転に都市機能、とりわけオフィス機能が密集しているわけではない。その意味では、このような「適切なインセンティブ構造」と「個人の自律的選択」というナッジ、それも長期間の介入によって、「移動しない社会」を実現することは壮大な実験であろう。果たしてそれが許容されるかどうか、まさしく闊達な議論がかわされるべきである。

N.S