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「自治体ナッジシェア」から広がる、ナッジ政策の未来

ナッジを活用した政策をもっと多くの自治体に広めていきたい。そんな思いから誕生したのが、Policy Garage、大阪大学社会経済研究所、行動経済学会が共同で運営するウェブサイト「自治体ナッジシェア」(https://nudge-share.jp/)です。

「現場で実際に使える、ナッジの知識を学び、共有できる場所があれば、もっとナッジは広まるはず」——そんな想いを出発点に、行政現場の声を取り入れながら、使いやすさを重視して構築されました。

デザイン思考でつくる“現場目線”のプラットフォーム

Policy Garageでは、毎月開催されているオンライン研究会を通じて、全国の自治体職員や省庁関係者、研究者など約100人から継続的にフィードバックを収集。アジャイルな開発スタイルとデザイン思考の手法を取り入れながら、ウェブサイトは日々進化を続けています。

この取り組みの背景には、「ナッジに興味はあるけど、実務的な知識が見つけづらい」「自分の担当分野にマッチした事例を探すのが難しい」といった現場の悩みがありました。そんな課題を乗り越えるために、「自治体ナッジシェア」は誕生したのです。

ナッジ活用を支える3つの柱

このウェブサイトには、ナッジを使った政策立案を後押しするための3つの主要機能が備わっています。

1:体系的に学べる教材機能

大阪大学社会経済研究所と行動経済学会による理論の裏付け、そしてPolicy Garageが持つ現場の知見。この2つの視点から、「基本」「ツール」「実践方法」の3つのテーマで構成された教材が用意されています。

自分のレベルや関心に合わせて学びを進められるシナリオ形式で、ナッジ初心者から中級者まで、無理なく知識を深めていくことができます。

2:必要な情報にすぐアクセスできる整理機能

ナッジに関する記事は世の中に多くありますが、実務で役立つものを探し出すのは大変。そこで、Policy Garageのメンバーや研究者たちが“キュレーター”となり、特におすすめの記事をピックアップして紹介。重要なポイントや活用法も添えられていて、現場目線での参考になります。

また、異なるサイトに散らばっていた情報を「分野別」に整理。タグ機能を活用すれば、例えば効果検証の手法(RCT、差分の差法、事前事後比較など)に絞って事例を探すことも可能です。

3: 実践の中で生まれた知見を、みんなでシェアできるナレッジ機能

実際にナッジを導入した自治体職員のリアルな経験が投稿され、現場で直面した課題や工夫のプロセスが共有されています。これは、これからナッジを始めようとする自治体にとって非常に心強いヒントになります。

このプラットフォームのコアにあるのは、「自治体職員による知見の共有」。その精神は、名前やロゴにも表れています。ロゴは、“集まる・共有する・広がる”をイメージして、3つの手のひらが重なるデザインに。知見が自然に広がっていく様子が象徴されています。

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ナッジを通じて、自治体政策の未来を切り拓く

少子高齢化や人口減少、災害、感染症といったさまざまな課題に直面する中、地方自治体にはこれまで以上に柔軟で実効性の高い政策が求められています。

その鍵を握るのが、行動インサイトとナッジの活用。

「自治体ナッジシェア」は、そうした未来に向けて、職員同士が知見を持ち寄り、学び合い、支え合う場となっています。ひとりの挑戦が、全国へと広がっていく——そんなエコシステムが、ここにはあります。

今後も、このプラットフォームを通じてナッジを実践する自治体が増え、地域の未来が少しずつ変わっていくことを、私たちは心から願っています。