食品ロスは日本国内でも重大な課題であり、その削減は持続可能な社会の実現に向けて重要な取り組みの一つです。ここでは、食品ロス削減に向けた具体的な政策と事例を紹介します。
食品ロスの現状
日本における食品ロスは2021年度で約523万トンに上ります。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々への国連世界食糧計画(WFP)の年間食料支援量(約480万トン)の1.1倍に相当します。食料システム全体、すなわち調達から生産、加工・流通、消費、そして廃棄に至るまで、多くの温室効果ガスを排出しています。
食品ロス削減の取り組み喫緊の課題
資源の有効活用と環境負荷の低減の観点から、食品ロス削減は日本にとって喫緊の課題です。食品廃棄ゼロエリアの創出や飲食店での食べ残しを持ち帰る「mottECO(モッテコ)」など、具体的な取り組みが進められています。また、実態調査や効果的な削減方法の研究、先進的な取り組みの情報収集・提供、フードバンク活動の支援なども行われています。
事例
1,てまえどり運動(R4環境白書)
食品産業から発生する食品ロスを削減するためには、消費者の理解と協力が不可欠です。例えば、消費者が買い物をする際に、購入してすぐに食べる商品を商品棚の手前にある販売期限が迫った商品から選ぶ「てまえどり」を行うことで、廃棄される食品ロスを削減できます。環境省は消費者庁、農林水産省、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会と連携し、2021年6月より「てまえどり」の呼びかけを行っています。
2,mottECO(モッテコ)運動(R4環境白書)
食品ロス削減のため、環境省は消費者庁、農林水産省及び全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会と共に、「おいしい食べきり」全国共同キャンペーンを実施しています。外食時には、残さず食べきることが推奨されていますが、どうしても食べきれない場合には自己責任の範囲で持ち帰る「mottECO(モッテコ)」の普及啓発を行っています。
食品ロス削減環境大臣表彰
食品ロス削減に先駆的に取り組む団体等を対象に「食品ロス削減環境大臣表彰」が実施されています。例えば、「mottECO普及による食品ロス削減と脱プラ両立プロジェクト」(セブン&アイ・フードシステムズ、ロイヤルホールディングス)や「~業界を超えた連携~フードドライブ活動の更なる発展に向けて」(ダイエー・神戸市・サカイ引越センター)、そして「急速凍結」を活用し食べ残しゼロを目指す社会福祉法人正和会の取り組みが表彰されています。
まとめ
食品ロス削減は、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みです。消費者、企業、政府が一体となって、さまざまな施策を実施し、食品ロスを減らす努力を続けていくことが求められています。