食料安全保障政策は、持続可能な農業を推進し、食料システムの安定化と環境保護を目指す重要な施策です。ここでは、農業の活性化と環境負荷低減に向けた具体的な取り組みを紹介します。
第六次環境基本計画では、環境と調和のとれた食料システムの確立を目指しています。2021年5月に策定された「みどりの食料システム戦略」では、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現することが掲げられています。
2050年までの目標とKPI
同戦略では、2050年までに温室効果ガスの削減や化学農薬・化学肥料の使用低減、有機農業の取組面積の拡大など14のKPIを設定しています。中間目標として2030年の目標が2022年6月に設定され、「みどりの食料システム法」に基づく計画認定制度が施行されました。これにより、環境負荷低減に取り組む生産者や技術普及事業者の活動が後押しされています。
クロスコンプライアンスの導入
農林水産省の全ての補助事業等に対して、最低限行うべき環境負荷低減の取組の実践を要件化する「クロスコンプライアンス」が導入されています。これにより、生産者の環境負荷低減の努力が消費者に理解され、選択につながるよう推進されています。
J-クレジット制度の活用
温室効果ガスの排出削減・吸収量をクレジットとして国が認証するJ-クレジット制度の農林水産分野での活用が促進されています。これにより、民間資金の呼び込みが図られ、持続可能な農業の実現に貢献しています。
農林水産省生物多様性戦略
農林水産省生物多様性戦略に基づき、2030年に向けて農山漁村が育む自然の恵みを活かし、環境と経済がともに循環・向上する社会を目指しています。持続可能な森林経営や木質バイオマス等の森林資源の多様な利活用、農地・農業用水等の資源の保全管理の取り組みが支援されています。
農山漁村発イノベーションとエコツーリズム
地域の文化・歴史や森林、景観など農林水産物以外の多様な地域資源を活用し、農林漁業者や地元企業など多様な主体が参画することで付加価値の創出を図る農山漁村発イノベーションやエコツーリズムが進められています。これにより、都市と農山漁村等の交流や広域的なネットワークづくりが促進されています。
まとめ
食料安全保障政策は、持続可能な農業を実現し、食料システムの安定化と環境保護を両立させるための重要な施策です。これらの取り組みを通じて、環境負荷の低減と農業の活性化を目指すことが求められています。