ダブルチェックインアプリを活用した塩尻モビリティ実証実験を実施
環境省の委託事業として、私達は「ダブルチェックイン塩尻モビリティ」と呼ばれる社会実証プロジェクトを実施しました。本プロジェクトは、日常の移動行動を記録することで、より環境にやさしい移動手段の利用を促し、CO2排出量の削減につながる新しい仕組みづくりを目指すものです。参加者は専用アプリを利用しながら、鉄道やバス、自転車、徒歩などの移動を記録しました。集まったデータは、今後の持続可能な地域交通のあり方を検討するための基礎資料として活用されます。
カーボンニュートラル実現に向けた取り組み
近年、地球温暖化対策として「カーボンニュートラル」の実現が世界的な目標となっています。その中でも、自動車による移動は私たちの生活に欠かせない一方で、多くのCO2を排出しています。本実証実験では、日常生活の中で公共交通機関や自転車、徒歩を利用する機会を増やし、環境負荷の少ない移動スタイルの普及につなげることを目的としています。案内書によると、1人を1km運ぶ際のCO2排出量は、バスでは自家用車のおよそ半分、鉄道では約8分の1になるとされています。
専用アプリで楽しく移動を記録
参加者はスマートフォンに専用アプリをインストールし、約1か月間にわたり移動状況を記録しました。記録方法はとてもシンプルです。鉄道を利用した際は駅や列車の写真、バスを利用した際はバス停や車両の写真、自転車利用時は自転車や駐輪場の写真を撮影してアップロードします。アプリには画像認識AIが搭載されており、写真から移動手段を自動で判定します。また、徒歩については歩数を自動計測し、1日1,000歩以上歩くと移動として記録される仕組みが採用されました。

「ダブルチェックイン」で地域の移動を見える化
本実証実験の特徴が、「ダブルチェックイン」という仕組みです。参加者は、鉄道・バス・自転車・徒歩のいずれかの移動を記録した後、商店や飲食店、公共施設などへの訪問を記録することで「ダブルチェックイン」を達成できます。さらに、同じグループのメンバーが協力してダブルチェックインを達成すると、追加ポイントが付与される仕組みも導入されました。単にデータを収集するだけでなく、ゲーム感覚で楽しみながら参加できる工夫が盛り込まれており、地域全体で環境に配慮した移動行動を促進することが期待されています。
データ活用で未来の移動を考える
今回の実証実験で収集された移動データは、個人が特定されない形で分析されます。どのような条件で公共交通機関が利用されやすいのか、徒歩や自転車への転換を促すにはどのような仕組みが有効なのかを検証し、今後の地域交通政策や脱炭素施策の検討に活かされます。人口減少や高齢化が進む中、地域の移動手段の確保は重要な課題となっています。本プロジェクトは、環境負荷の低減だけでなく、住みやすく持続可能なまちづくりにもつながる取り組みとして注目されています。
おわりに
「ダブルチェックイン塩尻モビリティ」は、スマートフォンアプリとAI技術を活用しながら、人々の行動変容を促す新しい社会実証プロジェクトです。日々の移動を少し見直すことが、CO2削減や地域交通の活性化につながります。今後も実証結果の分析を通じて、環境と利便性を両立した移動のあり方が検討され、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが進められていく予定です。