都市の拡散を防ぎ、生活サービス機能や公共交通ネットワークの形成を連携して取り組む「コンパクト・プラス・ネットワーク」が推進されています。この取り組みがもたらす環境負荷の削減と市民の利便性向上について見ていきましょう。
コンパクト・プラス・ネットワークの推進
環境基本計画では、「市街地の拡散を防止しつつ、生活サービス機能や居住の誘導と公共交通ネットワークの形成を連携して取り組む「コンパクト・プラス・ネットワーク」の取組を推進していく」とされています。行動変容施策として、既存の公共交通の利用を促進することで、自動車交通量の減少を図り、温室効果ガスや大気汚染物質の排出削減に寄与することが目指されています。
環境負荷の「見える化」
これらの施策による環境負荷の削減効果を「見える化」することで、市民の理解と協力を得ることが重要です。具体的な取り組みとして、交通DX・GXの推進や教育・医療・福祉・介護・エネルギー等を含む地域の関係者の連携・協働(共創)を通じ、利便性・生産性・持続可能性の高い地域公共交通への「リ・デザイン」を加速させ、「ウェルビーイング/高い生活の質」に貢献していくことが求められています。
電動車の導入によるモビリティの脱炭素化
電動車の普及促進・導入拡大に向けて、車両の購入支援が行われています。具体的な行動変容として、再生可能エネルギー電力と電気自動車(EV)を活用した「ゼロカーボン・ドライブ(ゼロドラ)」の推進があります。家庭や地域、企業が自主的にゼロドラを選択することで、移動時のCO2排出量を削減します。
事例
ゼロドラ・ゼロ旅(R4環境白書等)
環境省は、再生可能エネルギー100%電力の調達を要件として補助金を倍増し、公用車・社用車の電動化と再生可能エネルギー発電設備の導入を支援しています。観光地では、EVやFVCを利用して移動時のCO2排出量をゼロにする「ゼロ旅」が始まっています。例えば、太陽光発電による温室栽培を行う農園と提携し、再エネ電力を使用した送迎用電動車を走らせる取り組みがあります。
物流におけるCO2排出量の削減(R3環境白書)
環境省のナッジ事業の一環として、楽天は2018年度から宅配便の再配達防止を通じたCO2排出量の削減に取り組んでいます。1回で荷物を受け取れなかった人の約4割が「配達されることを知らなかった」と回答したことを受け、スマートフォンのアプリで配送状況を分かりやすく伝える機能を搭載しました。その結果、荷物の到着予定を通知することで1回での受取率が11%増加しました。
まとめ
都市のコンパクト化とネットワーク化の推進、電動車の導入拡大、そして物流におけるCO2排出量削減の取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた重要なステップです。これらの施策を通じて、環境負荷の低減と市民の利便性向上を両立させることが求められています。